被相続人の療養看護等,被相続人の財産の維持または増加に貢献した親族にも,相続財産から財産の分配を受ける権利を認められる規定が創設されました。
この規定に該当することが多いと思われるのは,被相続人の子の配偶者が相続人でないにもかかわらず,被相続人の療養看護をしていたような場合です。
特別寄与料の額については,当事者間の協議で定めることが出来ます。当事者間で協議が整わないときは,家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することが出来ます。
家庭裁判所に請求できる期間に制限があり,相続開始から一年以内,または特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6カ月以内です。
家庭裁判所が寄与料の額を定める際には,寄与の時期,方法及び程度,相続財産の額その他一切の事情を考慮して,特別寄与料の額を定めるとされています。
親族が療養看護をした場合の特別寄与料の算定は,従前からの制度である寄与分の制度において用いられていた方法と同様に,相続人が被相続人に療養看護をしたのと同様の取り扱いがされるのではと想定されています。
特別の寄与をした親族は,相続人に対し,特別寄与料の支払を請求でき,相続人が複数いる場合には,各自の法定相続分に応じた特別寄与料の負担をするものとされています。
被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人,相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は,相続の開始後,相続人に対し,特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。
2 前項の規定による特別寄与料の支払について,当事者間に協議が整わないとき,又は協議をすることができないときは,特別寄与者は,家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし,特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき,又は相続開始の時から一年を経過したときは,この限りでない。
3 前項本文の場合には,家庭裁判所は,寄与の時期,方法及び程度,相続財産の額その他一切の事情を考慮して,特別寄与料の額を定める。
4 特別寄与料の額は,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺産の価額を控除した残額を超えることが出来ない。
5 相続人が数人ある場合には,各相続人は,特別寄与料の額に第九百条から九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。