民事信託にはどのような機能があるか確認する。

民事信託の説明―機能について

倒産隔離機能
委託者の債権者は信託財産を差し押さえ出来ない。(詐害行為は除く)
受託者の債権者も信託財産を差し押さえ出来ない。(受託者の財産と分別管理が必要)
受託者が破産しても信託財産は破産財団に組み込まれず、受益債権も破産債権にはならない。
受益者の債権者は受益債権を差し押さえることができる。

 

長期財産管理機能(意思凍結機能)
委託者が死亡しても信託を継続し、財産管理を受託者が行える。
受益者や信託財産の事情変更に対処するため、受託者に裁量権を付与し柔軟な対応が可能
将来の受益者を指定・変更し受益者連続可

 

転換機能
所有権が受託者に移転・変更し、信託財産管理は受託者が行い、受益権を受益者が有す。

民事信託の登場人物とその役割

信託当事者の3者

 

委託者・・・信託財産の提供者。

 

受託者・・・信託事務を担うもの。未成年者、成年被後見人、被保佐人は受託不可。信託監督人、受益者代理人との兼任不可。任意後見人も要注意。

 

受益者・・・信託による利益を受ける人。死者は受益者になれない。

 

受益者保護関係人

 

信託管理人・・・受益者が現に存しない場合に受益者の為に自己の名で受益者の権利に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする者。受益者が存在しない目的信託では必ず必要。

 

信託監督人・・・受託者の監督人

 

受益者代理人・・・受益者の代理人

 

その他の関係人

 

信託事務処理代行者・・・信託の目的に照らし適切な人として信託事務処理を委託された人。専門職多。

 

受益者指定権者・・・信託行為において受益者を指定し、またはこれを変更する権利を有する者。受益者に対して意思表示。

信託の設定方法―信託行為の三形態

信託契約
委託者と受託者の契約締結により信託設定。
特別の方式や書式等なし。

 

委託者と受託者を兼ねることができる。⇒他益信託
委託者と受益者を兼ねることができる。⇒自益信託

 

遺言信託
遺言者が委託者となり、遺言を通じて信託設定。
遺言者が死亡し遺言の効力発生により、信託効力発生。

 

自己信託
二通りの設定方法。法定要件。
公正証書又は公証人の認証を受けた書面により設定。当該公正証書作成又は認証のときに効力発生。
公証人が絡まない書面作成のときは受益者に対して確定日付による通知があったときに効力発生。
委託者、受託者及び受益者が同一可。受託者が受益権すべてを固有財産として有する状態が一年継続すると信託は終了。


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